新技術ニュース スタンプ材『 BMW303 』
黒鉛るつぼ用バック材質のご紹介
BMW 303
バック材で黒鉛るつぼの寿命安定と寿命延長が可能です。
誘導加熱炉における黒鉛るつぼのバック材はロー石質炉材やシリカ質炉材が一般的に多用されています。弊社におきましても、黒鉛るつぼのバック材にはロー石質炉材を標準材質としてご紹介して来ました。しかしながら最近あるお客様のご提案で、黒鉛るつぼの寿命とバック炉材との関係を見直した結果、特定の成分をもつバック炉材により黒鉛るつぼの延命効果が確認できました。
この度、黒鉛るつぼ誘導溶解炉の操業時にみられる熱衝撃割れ現象での、黒鉛るつぼに使用するバック材の材質組成改善により割れ抑止効果が得られることが確認できましたので簡単ではありますが以下にご紹介致します。
誘導加熱炉における発熱は電気良導体である金属と同様に黒鉛るつぼも内部発熱が生じ、金属の溶解温度に対し黒鉛るつぼの内部発熱温度はそれと同等以上に上がっているものと考えられます。また、周波数の高い高周波誘導加熱炉では、黒鉛るつぼへの発熱負荷が一層増すものと考えられます。この様な黒鉛るつぼの発熱は母材の焼結を進めるだけでなく、急速加熱による黒鉛るつぼの熱衝撃割れへと繋がります。誘導加熱炉での黒鉛るつぼの発熱は全体が均一に発熱せず特定部位が早く赤熱し緩やかに温度が広がります。黒鉛るつぼの発熱温度ムラは必然的に起こりますが極力抑制する必要があります。
ここで着目したのがバック炉材の熱伝導率です。誘導加熱炉では炉材の周囲が水冷されている為、黒鉛るつぼの内部で発熱した熱量はバック炉材を介して水冷コイルへと熱は逃げています。バック炉材の熱伝導率は、熱の拡散に大きな要素として働くものと考えられます。
ここでご紹介致します黒鉛るつぼ専用バック炉材は弊社標準ロー石質炉材の熱伝導率1.1 W/m・K 、シリカ質炉材の熱伝導率1.1 W/m・Kに対し、今回開発しました『BMW-303』は1.6 W/m・K と48%高い設定となっております。
このバック材『BMW-303』の効果により、黒鉛るつぼの品質安定と使用期間延長にかなりの効果が得られたことが実機炉使用において実証確認できました。
是非一度、弊社の黒鉛るつぼと合わせて新バック材『BMW-303』のご評価を戴きたくお願い申し上げます。
以 上